肩の手術後には「3か月が一つの節目」と考えられています。肩の専門家の間では『3か月時点の可動域』がその後の回復を考えるうえで重要なチェックポイントとして注目されています。
この時期の目的
肩を『動かせる』から『上手に使える』へ
患者さんへのメッセージ
「低負荷・高頻度から始めて徐々に負荷を上げ、肩と肩甲骨の安定性を鍛えるのが基本」です 。
参考情報
この時期でも、重いダンベルや頭上での反復動作は早すぎることがあります。
スポーツや力仕事への復帰は、断裂の大きさや治癒状況でさらに先になることがあります 。
運動中の目安としては、痛みが強くないこと(経験した中で一番痛かった時を10レベルとしたらトレーニング中に出現する痛みは2~3レベル以内)で、翌日に痛みが残りすぎない範囲が無難と考えます。
動かしたあとに疲労が残る程度に収めましょう。
違和感が残る、夜間痛や腫れが増えるなら、負荷が強すぎる可能性があります 。
3か月から6か月は、筋力を戻しながら日常動作を少しずつ広げる時期です。
多くの施設では、3か月頃から筋力トレーニングを開始し、6か月に向けて低負荷のウェイトや上肢の閉鎖性運動連鎖(CKC)へ進めていきます 。
閉鎖性運動連鎖(CKC)とは・・・
壁に手をついたり床に手をついたり肘をついたりして、突いた手や肘に体の重みをかけながら目的の肩関節周囲の筋肉を収縮させたりを動かす運動をイメージしていいます。
3〜4か月
この時期は、軽い負荷で「正しい動き」を覚える段階です。肩だけで頑張らず、肩甲骨と体幹を一緒に使うことが大切です 。
この時期のポイントは、「軽く・正確に・翌日に痛みを残さない」ことです。2kg程度の把持や自転車が許可される施設もありますが、まずは主治医の許可範囲に合わせます 。
4〜5か月
4〜5か月は、筋力に少し持久力を足していく時期です。肩関節そのものだけでなく、肩甲骨周囲筋や体幹の安定性を高める練習が重要になります 。
ここでは、腕を上げるだけでなく、支える力を育てることが重要です。痛みがなくても、フォームが崩れるなら負荷が強いサインです 。
5〜6か月
5〜6か月は、日常生活や軽作業、スポーツ動作に近い練習へ進む時期です。施設によっては、制限つきのウェイトトレーニングやダッシュ系の準備に進む段階として扱います 。
6か月に近づくほど、瞬間的な外力や急な頭上動作をどう再開するかが課題になります。大きな断裂や治癒が遅い場合は、ここでもまだ慎重さが必要です 。
進め方の目安
進行の基準は、週数だけではなく、痛み、可動域、筋力、代償動作の少なさです。腱板修復術後は3か月時点では筋力が完全ではないことが多く、6か月時点でも改善途中であることが言われています 。
そのため、「軽い負荷で正確にできるか」を毎回確認しながら進めるのが安全と考えています。
注意点その1
次のような場合は負荷を下げるか、中止して主治医やセラピストに確認してください。
運動後に夜間痛が増える
可動域が落ちる
肩をすくめる癖が強くなる
引っかかり感が出る
といった変化です 。特に6か月前でも、無理な筋トレや反復的な頭上動作はまだ早いことがあります からしっかり主治医やセラピストとのコミュニケーションを大切にしてください。
注意点その2
腱板修復術後は、同じ「3か月以降」でも、断裂が大きいほど進行が遅くなることがあります 。そのため、ここで示したメニューは一般的な目安として使い、主治医や担当セラピストの許可範囲に合わせて調整してください 。
