「時期によってセルフトレーニングの目的が全く違う」ということを知っておくことが重要です。
特に腱板断裂修復術後は、
➀修復した腱の保護
➁肩関節の拘縮予防
➂腱板筋の再教育(筋肉が再び動いて使えるように)
④筋力回復(しっかり力が出るように)
を段階的に進める必要があります。
無理なセルフトレーニングは再断裂してしまうリスクになるため、
手術の方法(シングルロウ・ダブルロウ・スーチャーブリッジなど)、断裂サイズ(大きさ)、修復状態よって異なるため、主治医やリハビリセラピストの指示に合わせた調整が必要です。
術後セルフトレーニングの基本
術後の時期に合わせてセルフトレーニングを行う際に「目的の違い」があります!!
| 時期 | 目的 |
|---|---|
| 術後〜6週 | 修復保護 |
| 6〜12週 | 可動域改善 |
| 3〜6か月 | 運動再学習 |
| 6か月以降 | 筋力・機能回復 |
このように、術後の時期に合わせて段階的に進める必要があります。
この表の中で節目となるのが、3か月(12週)です。
なぜならば、この時期を境にしてリハビリ内容が変わる時期だからです。

術後早期は修復した腱の保護や、肩関節の拘縮予防が重要ですが、痛みが落ち着いてきて段々動かせれてくる3か月頃になると、自分で動かせれる範囲や日常動作がやりやすくなって、肩甲骨と上腕骨の協力した動きへと改善が進みやすい時期になってくるからです。
一方で、早すぎる「動きの良さ」や「痛みの軽減」が常に安全とは言い切れません。
「あれ?動かせれるな」「やっぱり私は治りが良いんだわ」なんて勘違いしてしまう事に繋がります。
そうなると修復した腱に負荷がかかり「段々痛くなってくる」、「力が入らなくなってくる」といった現象がおきて、調べてみたら「再断裂!!」なんてことに。
特に大断裂では「早期他動運動」といって自分で力を入れて動かさなくても動かし過ぎが再断裂リスクに関係する可能性も報告されています。
なぜ3か月が重要か?
術後3か月は、
「守るリハビリ」から「使える肩にしていくリハビリ」へ移る境目
だから重要です。
この時点で、
- 前に上がらない
- 小さい「前ならえ」の姿勢から外に腕が開かない・硬い
- 手が後ろに回らない
- 手を動かしたときに肩甲骨が先に動く(肩がすくむ等)

といった問題が残ると、その後の運動再学習や筋力回復に影響しやすくなります。
しかし、心配することはありません!!
「3か月で動きが悪いから最終の成績が必ず悪い」とは言えません。
年齢、断裂サイズ、術前拘縮(手術前に動きが硬い状態)、体の全身状態にかかわる病気(糖尿病など)、痛み、手術の方式、リハビリ頻度、主治医の制限などが影響します。
一言に言うと
術後3か月は“完成時期”ではなく、“その後の方向性を見直すチェックポイント”
と表現しています。
要するに
腱板断裂修復術後の3か月は、修復部を守る時期から、肩を日常生活で上手に使う時期へ移る大切な節目です。
この時点の動き方、とくに前へ手を挙げる動作や、小さい「前ならえ」の姿勢から外に腕が開く動作の回復具合は、その後の肩の動きに影響する可能性があります。
ただし、断裂の大きさや手術方法、主治医の方針によって進め方は異なるため、
3か月は「無理に頑張る時期」ではなく、「現在の硬さや動かし方を確認し、セルフトレーニングを調整する時期」
と考えることが大切です。
現在、わたしは腱板断裂術後のリハビリに対して臨床研究を進めています。
術後の患者さんを「3か月時点で前に手を挙げることが特徴的に悪い人(前方挙上)、小さい「前ならえ」の姿勢から外に腕が開く動作が特徴的に悪い人(外旋)、後ろに手を回す動作(結帯動作)が特徴的に悪い人」の3つに分けてその後の成績を調べ直している研究をしています。
研究結果の結論から言うと、
3か月で特徴がそれぞれあるんですが、「1年後の回復状況では大きく変わらない」、「皆さん良くなってます」。
早い人は6か月でリハビリ卒業。遅くても1年で卒業。標準というか目標は8か月かと。
しかし「前に手を挙げることが特徴的に悪い人は回復が他に比べて遅い」「痛みが続きやすい傾向」にあると考えています。
それでは、術後の時期に合わせたセルフトレーニングを行う際の
「目的」ごとに次回の投稿で分けて説明していきます!


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